神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)
広島・福山市
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会場の概要
天心山神勝寺(しんしょうじ)は、臨済宗建仁寺派の特例地寺院で、その敷地は7万坪にも及びます。そもそもは海難事故で亡くなった人びとの慰霊のため造船業を営む開基、神原秀夫によって1965年に創建されました。今回の建築祭の展示が行われる「無明院」は、最も高い丘の上に位置する神勝寺の本堂です。前庭は昭和の小堀遠州と称される作庭家・中根金作による「無明の庭」、「阿弥陀三尊の庭」、「羅漢の庭」と名付けられた広大な枯山水庭園となっていて、白隠禅師の禅画・墨跡のコレクションを有する荘厳堂も併設されています。『ひろしま国際建築祭2025』では、無明院のピロティ空間に用意された特設会場で「NEXT ARCHITECTURE――建築でつなぐ新しい未来」の展示を、茶室「明々軒」では、「丹下健三自邸再現プロジェクト」の展示を行います。
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建築的見所POINT
赤松に囲まれた瀬戸内の自然の中に、本堂、国際禅道場、茶室などの歴史的建造物や現代建築が点在し、庭園を楽しみながら、座禅、写経のほか、墨跡、現代アートの鑑賞ができます。境内の入口となる総欅造りの総門は、かつて京都の旧・賀陽宮邸(かやのみやてい)にあったものを1967年に開基が譲り受け当地に移築したもの。総門をくぐると、中根庭園研究所が手がけた池泉回遊式庭園の賞心庭を囲むように、寺務所である松堂、《洸庭》、浴室、含空院(がんくういん)などが配置されています。中でも特筆すべきは2つの現代建築です。寺務所である「松堂」(2014年完成)は建築家・建築史家として活躍する藤森照信の設計で、屋根の上に植えられた松の木が特徴的です。また《洸庭》(2016年完成)は世界的に活躍する彫刻家・名和晃平とクリエイティブプラットフォーム「SANDWICH」の建築作品です。やわらかな曲線で構成される長さ約45mの舟をイメージしたスペースが、海原に見立てた錆石の庭の上に浮かぶように建っています。内部空間は、アートと禅の世界が融合したインスタレーション空間になっています。
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INFORMATION
広島県福山市沼隈町大字上山南91
TEL 084-988-1111
開館時間 9:00〜17:00(最終受付は16:30まで)
※施設・展示の観覧には『ひろしま国際建築祭2025』入場パスポートが必要です。
※各施設の営業時間、休館時間はホームページでご確認ください。※2025年10月4日(土)は法要のため、一般の方は終日入場いただけません。